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March 26, 2005

ジパング 18巻

 インド洋に侵攻した日本海軍は、シンの駆るスピットファイア率いる一団により空母龍驤を沈められる。"みらい"の通信士、立花は龍驤と共に海の藻屑と化した。"みらい"は歴史に干渉する立場のみならず、歴史にもまれ、干渉されている。今までも、幾人かの平成時代の人間が、昭和に死んでいった。が、今回は菊池が責任者となって初めて、明示的に"みらい"乗組員が死んでしまった。"みらい"の時空遷移の意味が、改めて問われ始めている…。

 結果的にやむを得ず、"みらい"は歴史に干渉してしまった。しかし干渉すべきではなかったのかもしれない。大勢の日本人を助けるという結果を得ることもあったが、本来昭和に死ぬべき人間でなかった人間("みらい"搭乗員)が死んでいる。彼らの生命を奪う権利が少なくとも当事者である"みらい"に搭乗する人々にあったのか疑問が残る。軍事行動中の軍艦においては、艦長の責任にてそういう行動がとられることもあろう。しかしこの昭和の世界において"みらい"を軍事行動たらしめる責任が艦長に果たしてあったのだろうか。まして、菊池に艦を指揮する権利に関しては言うに及ばない。
 彼等が過去に移動した時点で、果たして自衛隊員という資格と、戦力を保持し続ける資格があったのか。圧倒的な戦力を使用するという甘美な蜜に飛びついただけだったのかもしれない。ましてやジパングを目指す草加という得体の知れない妖怪を生みだしてしまった。作中語られる言葉を借りれば彼ら自身も「後だしジャンケン」で事を進めているに過ぎない。

 余談だが、かわぐちかいじはあえて"みらい"を追い込んだ。昭和に送り込んだ艦は原潜ではなくイージス艦だった。補給(食料という話も当然あるけれども)の必要性は必然的により高く、相手からの攻撃にも晒される可能性を示した(原潜だと一方的過ぎる)ことになる。つまりそれは、"みらい"が歴史に干渉してしまう必然性を作ったと言える。

 一つの切り口として、「人の命を助ける」とした行動理由がどこまで正当なものだったのか。かわぐちかいじはそれを読者に考えさせながら物語を展開させているような気がする。

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Comments

これまた面白そうだね!

Posted by: gocito | March 26, 2005 at 07:55 PM

 面白いよ~。大東亜戦争(あえて言おう)戦時下に放り込まれたイージス艦、"みらい"の漂流を描く作品です。
 実は知人にイージス艦"きりしま"元艦長がいたりするので、そういった方面でも面白かったりします。

Posted by: 竜馬 | March 26, 2005 at 10:56 PM

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