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March 31, 2005

司馬遼太郎が考えたこと 1巻

 司馬遼太郎のエッセイ集。全15巻にも及ぶらしいが、とりあえず1巻を読んだ。以前に出ていた本の文庫本化で、今回初めて読んだ。先が長いので楽しみも長続きするというものだ。
 本自体は厚いが一遍の長さが短いので、文章嫌いの人でも読みやすいと思う。とは言え、ファンでなければなかなか手に取らないものかもしれない。見方を変えれば、司馬のブログのようなものかもしれないというのは言いすぎか。
 戦車に乗った頃のエピソードや、新聞記者時代、直木賞受賞の頃のエピソードなどが入っているが、この中で興味深い一遍があった。「魚ぎらい」というもの。

 「私はうまれついての魚嫌いで、料理屋で出される純日本式の料理などはまったく手がつかないし、タイの焼死体などをみると、もうそれだけで胸がわるくなるのである。」

などと書かれている。更に他遍だが、

 「牛やブタ肉とは異なり、皿の上の魚の死ガイは、生前そのもののカタチをとどめている。その死ガイをハシで毀損し、皮をはぎ、骨を露出させてゆく作業を、もし私の隣席の女性がやっているとしたら、彼女が美人であればあるほど、ぶきみな夜叉にみえてくる。」

とも書かれており、とにかく魚を嫌悪したようだ。私とは真逆ですな。
 死骸を毀損するのである。言われてみればその通りだが、肉料理であろうが、野菜料理であろうが、死骸を毀損しているには違いない。サラダに至っては「生きたままその身を砕き、それをなんと飲み込まんとするのである」とでも表現してやろうか(笑)。好き嫌いは珍しくないが、ここまで魚を嫌悪する人も稀なのではないかと思ったり。
 やはり歴史を考察する時の筆は滑らかで、読むほうも引き込まれてしまう。そして司馬遼太郎の長編歴史小説新作はもうありえないと、改めて残念に思ってしまった。この先14巻をゆっくり堪能していきたい。

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