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May 04, 2005

消えゆく貸本屋

 GWの帰省で、北九州は八幡、三ヶ森の貸本屋さんであるマンガ館に、遼太郎の顔を見せに行こうと考えていた。しかし、店に行くと驚くべき現実がそこにあった。「貸店舗」と張り紙が貼ってあるではないか。
 痛烈なショックを受けた。なぜ?どうして?いつから?館長は今どこに…。
 帰宅後とりあえずぐぐってみる。古い本を売りに出していたから住所がつかめるかもしれない…と見ると、同じく北九州市八幡西区内だが、住所が移転していることがわかった。電話番号が記載されているので電話する。懐かしい声が聞こえた。
 「偶然、今日たまたま君が描いた絵を見ていたんだよ…」
 住所を頼りに地図検索。おおよその場所を掴んで行ってみると、住宅街を流れる川のほとりに懐かしい看板が出ているのが見えた。以前の店舗は商店街の中にあったので、その雰囲気の違いに驚かされる。営業を継続していたのは嬉しかったが、よく思い切って移転していたものだと感じた。

 こんにちは。と中に入ると、古本のにおいが充満している。うず高い本棚と溢れるマンガの山。隙間に貼られた歴代のマンガ館賞受賞作品(お客さんが描いたイラスト)など、雰囲気はほとんど以前と変わらない。小さなカウンターに、館長が静かに佇んでいた。
 昔話に花が咲く。そして移転の経緯も聞いた。移転して8ヶ月になるとのこと。近所にBOOK OFFが建ち、昔ながらの貸し本屋さんの経営を圧迫していったそうだ。
 「いらない商売は消えていくんだよ…」
 と語る館長。私なんかは息子遼太郎が生まれた今日、自分のマンガ本の整理を迫られている身としては、今こそ家のそばに貸し本屋が欲しいなぁ、などと考えているのだが。世の中うまくいかないものである。
 電話で語っていた、昔描いた私のイラストがカウンターの傍らにあった。壁にも貼られていた。自分の昔と過ぎた時間を考える。その期間、得るものは数多あったが、しかしながら自分は未だ何も成しえていない事に直面させられた気がした。

 マンガ館では、貴重な本をWeb上で売りに出している。例えば'60~'70年代の虫プロの初版本等である。私は古い初版本には特に興味は無いが、それが貴重な本であることは知っている。東京のまんだらけあたりでは、ガラスケースの中で0がいくつついているやら…などと思ってしまう。
 これらの処分は随時行っていくそうだ。それは貸本屋さんという商売がやがて消えていく象徴のような気がした。そして自分の本ではないくせに、自分の思い出が切り売りされているような気もした。だが、それが安っぽい感傷でしかないことも理解している。遼太郎の顔を館長に見せる、という願いは達成された。だが、遼太郎がこの店で本を借りる事は、もはやないであろう…。
 再開を約して、店を辞した。帰省する度に行けるとは限らない。可能な限り、いつまでも残っていて欲しいと願いながら帰路についた。東京では仕事が待っている。

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Comments

はじめまして。
マンガ館でググっていたら、このブログを見つけました。
ご存知でしょうか?マンガ館さんは今年、この2月末で閉店されるそうです。
大手が貸本に進出する中、個人経営のお店が閉店せざるをえなくなる・・・なんか不条理なものを感じます。
時の流れとはいえ、残念ですね。

Posted by: 通りすがり | February 15, 2007 at 11:11 AM

 な、なんですと!
 しまった…今年の正月の帰省時、行っておくんだった…。
 情報ありがとうございます。電話してみます。

Posted by: 竜馬 | February 15, 2007 at 12:22 PM

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