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August 20, 2005

雨鱒の川

 本屋でフとこの本を見たとき、タイトル名はどこかで聞いたような気がした。だが思い出せぬまま購入。釣りの本かと思いましたよ(アホ)。
 読んでいるうちに釣りとは全然関係ない純愛物語であることがわかった。そしてその内容はいかにも昔ながらの純愛物語。そして実際に田舎ではよくあった景色ではなかったかと思う。
 主人公、小学校2年生の心平を取り巻く環境は厳しい。母ヒデは28歳と若いが、6年前に父に先立たれている。心平の周囲にいる信じられる友達といえば、いつも川釣りをしている秀二郎爺っちゃと、蔵元の娘小百合しかいない。後は、敵ばかりだ。心平にとって、心強い味方は存在しない。そして、その母にも先立たれる…。

 純粋な主人公というのは、見ていてイライラさせられる事がある。要領が悪く、生活感が無い。そのくせ主人公は自分の道の中では必ず真ん中を歩いていく。心平にとっては雨鱒と絵と、小百合が生活の全てであり、それ以外は何の興味も無い。それだけではダメなのだが、心平はそれ以外から逃げている、と言えなくも無い。
 周囲の人々もまた、悪者では決して無い。しかし心平の純粋が過ぎるために、現実を見る人々からはやや迷惑な存在であったりする。
 小百合の父、高倉志郎から見ても、恋のライバル英蔵から見ても、心平は心もとない青年であり、小百合との関係は早々に終わらせたいものであった。英蔵にとって心平はどこまで行っても邪魔者でしかない。ただ、心平を中心に描かれるこの物語、登場する人々は嫌な人に見えたり心平にとって邪魔者であったりするが、心平は勿論、誰もが純粋に自分の行動に信念と希望を持って行動しているに過ぎない。
 英蔵の最後の行動は、小百合の幸せという自分の最終的信念のもとに実行された。英蔵のその"あきらめ"は彼自身予想していたのではないか。人生をかけて手に入れようともがいていたその"幸せ"は、ついに手に入らない。それが予想できたからこそ、心平をいじめていたのではないかと思える。心平、小百合、英蔵の三人は色々なものを失ったが、各々の信念は貫き通したと言えるのではないか。
 人間、生きていく上で自分に素直であったり、自分に嘘をついたりしていく。できるだけ前者を選びたいけれど、それはイバラの道であることよのう…(なんだかなぁ(^_^;))。

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Comments

TBありがとうございます。『ディックの本棚』のディックです。

ふつうの人はなかなか心平のように純粋にはなりきれない。だから彼には感情移入がしにくいところがありますね。

Posted by: ディック | August 20, 2005 at 11:41 PM

 ディックさんこんにちは。竜馬です。
 でも、心平の楽しい気持ちや悲しい気持ちはよくわかるんですよね。でも、もうちょっとちゃんとしろよ、みたいな感じもあったり。
 それよりも英蔵の方は一般人ですよね。イヤなところも、かっこいいところも。

Posted by: 竜馬 | August 23, 2005 at 12:33 PM

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Tracked on August 20, 2005 at 10:30 PM

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