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November 26, 2005

えびぞり巨匠天国

 「私の大好きなモリコーネ・ミュージック~小泉純一郎選曲チャリティ・アルバム」というCDを買っていた。暫く棚に眠っていたのだが、先日プレーヤーにかけてみた。
 このCD、別に小泉が好きで買った訳じゃない。モリコーネが良いのだ。しかし私にとって、ちょっと変わった経緯でモリコーネの名前を知る事になった思い出がある。私がモリコーネの曲を初めて意識して聞いたのは、有名な映画群ではなく、「仮面ライダーV3 ~華麗なるSay Goodbye~」というマイナーな自主制作映画がキッカケだった。

 多くの人が「イカスバンド天国」略して「イカ天」という番組は覚えている事と思う。しかしその後番組の「えびぞり巨匠天国」略して「えび天」という番組の事は忘れ去られているのではないか。或いは、もともと知らない人も多いのではないだろうか、と思う。
 「えび天」は素人の映画監督が3分間の映画を撮り、それを審査員が講評する、という番組である。審査員には市川森一や高城剛、大林信彦といった名前が連なり、番組司会進行は三宅祐二と当時新人アナウンサーであった福島弓子だった。
 番組には多くの作品が寄せられ、放映されていた。その中に前川衛監督の「仮面ライダーV3 ~華麗なるSay Goodbye~」という作品が含まれていた。

 ストーリーはこうだ。
 高校生(たぶん)の男女。彼らはお互いに相手への恋心を抱いていたが、相手へ告白する、というまでには至らない。そのうち彼女は転校することが決まり、二人に残された時間は少ない事がわかる。移動当日、彼氏は彼女の自分に対する気持ちを知り、慌てて駅へ見送りに行くが、電車は出発した直後。会えなかった。
 息を切らせる彼氏の横に仮面ライダーV3が現れる。正義のヒーローはどういう行動に出るのか…てな具合である。
 全編を通して、セリフは女の子の切ない気持ちが現れた独白が一言だけ、語られる。後はずっと、曲がかかっているのみだ。その曲こそが、モリコーネの「ニューシネマパラダイス」であった。

 このたった3分の短い映画、惹きこまれること凄まじい。
 主人公の気持ちが痛いほど伝わり、先の展開が気になり、曲が胸に突き刺さる。ENDマークのあと、我にかえると「ほぅっ…」と深呼吸し、思わず息が止まっていた事に今更ながらに気づかされたのを覚えている。
 前川衛監督は、新人アナの福島弓子が大好きだったらしい。出演するたびに福島弓子への愛を表明(?)していたが、全く相手にされていなかった。ところが、この映画を見た直後の福島弓子は違っていた。泣いていた。
 「氷の心を溶かした」というコメントが出ていたが、周囲の人間が皆「よかったね」という気分にさせられた感じであった。テレビを見ているこっちも、映画の内容もホロっとさせられたが、前川監督の気持ちが福島弓子に通じた事にまたホロっとさせられたのだった。

 暫く、このBGM「ニューシネマパラダイス」が何に使われた曲であったか私は知らなかった。恥ずかしながら映画「ニューシネマパラダイス」を見ていなかったのだ。しかしある日、テレビで紹介されていたのを見てそれと知り、サントラCDを購入した。映画はまだ見ていなかったけれど。
 その後映画も見る機会を得た。「ニューシネマパラダイス」はいい映画だ。感動する映画だ。しかしもはや私にとっては、あの曲は「仮面ライダーV3 ~華麗なるSay Goodbye~」の曲なのだ。曲を聴きながら目を瞑ると、そこには高校生男女と、仮面ライダーが浮かんでくる…。
 ちなみにこの曲、我が結婚式でも使わせていただきました。この方に無理を言って弾いていただいたのでした。思い出の曲です。

 '92年、えび天の監督たちが集まった上映会が都内で行われた。私は当時就職したてで上京しており、右も左もわからない都内の地下鉄を駆使して会場にたどり着き、前川衛監督の新作(当時)を見る機会を得た。運が良かった。(ちなみに会場到着一番乗りで、二番目に到着した岩崎友彦監督と暫くダベるという偶然があった)。
 私はその時のチケットを今でも大事に保存している。もはや他には存在するまいと思われる。もっともそれを欲しがる人もまた存在しないだろうけど。それは自分の中の、自分への自慢である。

 前川衛監督はその後どうしたろうか。映画を作っているのだろうか。福島弓子がイチローと結婚するという報道が流れたとき、前川衛監督の事が真っ先に思い浮かんだ。失恋したんだなぁ、と思った。
 「ニューシネマパラダイス」を聴くと、上記全てを一気に思い出す。それはこの先何年も変わることは無い。

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Comments

はじめまして。
当時「えびぞり」を毎回欠かさずみていた者です。
ふと思い出し検索したらこちらに辿り着いてしまいました。

私もイチローの結婚報道を聞き、真っ先に思い浮かんだのが前川監督のことでした。
前川監督、本当にどうしているんでしょうね。

Posted by: AK | December 27, 2005 at 06:42 PM

>AKさん

 なんだか懐かしいですよね。「えびぞり」復活しないですかねぇ…。
 前川監督ってどうしてるんでしょうかね。番組最終回の座談会の際、「プロになりたい人」という問いに手を上げなかったのが思い出されます。意外でした。
 でも彼の新作がみたいです…。

Posted by: 竜馬 | December 28, 2005 at 08:27 AM

はじめまして。
前川監督の名前で検索をかけていたらこちらへ辿り着いてしまった者です。
拝読していて当時の感動が鮮やかに甦りました。

前川監督は、司会との対話や福島アナへのアプローチ等でかなり強烈なキャラを発揮しながら、映像はあんなに優しくて柔らかいと言う、あのギャップも印象深いですね。
近頃はYoutube等でえび天映像をちらほら見かけるようになったのですが、仮面ライダーV3シリーズはなかなか見つからず、やきもきしています。

出来る事ならTBさせてほしいのですが、
生憎こちらはmixi日記でして…

Posted by: 店番 | April 06, 2007 at 03:23 AM

 mixiうかがわさせていただきました。
 Youtubeに結構アップされてるんですねぇ。懐かしい映像がチラホラ。
 えび天もDVD化して発売してくれませんかねぇ…。

Posted by: 竜馬 | April 10, 2007 at 02:24 PM

エビ天 「仮面ライダーV3 ~華麗なるsay good bye~ 」審査員評付

http://www.youtube.com/watch?v=eUGpoHmX5ho&feature=fvwrel

御覧下さい。


コメント欄に前田監督が若くして亡くなられたと書かれていました。

残念でなりません。

Posted by: うりゃあ刑事 | April 09, 2011 at 08:35 PM

>うりゃあ刑事さん

 前川監督の新番組ですね。見たかったなぁ。
 というか、亡くなられたのですか!かなりショックです。えー…。

 Youtubeのリンクありがとうございます。このコメントまでが本当に面白いんですよね。何コメントしてたか、ほとんど覚えてます。

Posted by: 竜馬 | April 09, 2011 at 10:18 PM

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