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June 06, 2006

夕暮れの道にて

 ある日、遼太郎と三輪車デートを行っていた。いつもと違うコースで、夕方、薄暗くなって来ており、帰路を急いでいた。
 車どおりの少ない道を選んで歩いていたのだが、車道の真ん中に行こうとする遼太郎。それに対し注意を促すと、遼太郎はおとなしく道路の隅へ三輪車を寄せたはいいが、そのままピタリと三輪車を止めてしまった。
 どうした遼太郎…と見ると、何か辛そうな顔をしている。ンコでも踏ん張っているのかと思いきや、どうも夕闇の不安感を幼心に感じているらしい。薄暗く知らない道を進んでいるせいで不安にかられたようだった。
 「疲れたの?」…ウン、と頷く遼太郎。
 「三輪車乗りたくないの?」…ウン、と頷く遼太郎。そしてそのまま三輪車を降りてしまったのだ。
 「三輪車は?」
 「三輪車いらない」と言いながら、遼太郎は三輪車を突き飛ばすように道路の端へ押しやった。いつぞや、上州屋店内に入る際に三輪車を降りたがらない雰囲気とは全く違っている。そして「ダッコ」と、こちらへ向けて両腕を上げるのだった。
 さてどうするか…。

 とりあえずその場は抱きかかえることにした。右手に子供を抱え、左手に三輪車を引きずり、暫く歩く。するといつもの三輪車デートコースにたどりついた。微妙に表情が変わる遼太郎。2歳半ともなれば、結構道を覚えている。
 それでも暫くは三輪車に乗ろうとしなかった。「三輪車をこのまま置いて帰ったらカワイソウだろう」、と促し、三輪車に跨らせた。疲れているという感じではない。知っている道に入り、元気に地面を蹴り始めた。

 やがて上州屋の前を通りがかる…と、また三輪車を降りる遼太郎。これの意味が違うことはお互い判っていた。
 上州屋の駐車場の一角に自動販売機が置かれているが、これの"りんごジュース"が彼のお気に入りである。と言うより、三輪車デートの際にここを通りがかると、三輪車を降り、「ピッする」(自動販売機のボタンを押す>ジュースを買う)と言うようになってしまった。一度目は何気に買ってやろうか、という思いだったのだが、二度目は味をしめた遼太郎が言い出した。そしてこれが三度目であった。
 ジュースを毎度の様に買うのも如何なものか、と思わないでもないが、薄暗い中、不安感に襲われた遼太郎を慰めるのに悪いアイテムではない、と思い自販機に120円を投入する。ボタンを押す事は相変わらず大好きで、その権利を彼から奪ったが最後、暫く機嫌を損ねてしまう。遼太郎を抱きかかえ、自販機のボタンを押させる…。
 ガコッ。下からりんごジュースを取り出すと、二人で代わる代わるそれを飲んだ。二人で何かを共有する、という感覚が楽しい。遼太郎はそれを感じているのだろうか。
 あと20年もしないうちに、酒を酌み交わす事になるのだろうか、なんて思いながら、りんごジュースを頬張る姿を携帯の写真に収めるワタシであった。

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Comments

うちの小僧は嫁に似て飲めないような気がするんだよね。なので、今は娘を英才教育。ワインが結構好きみたいです(もちろん舐めさせる程度)。娘と飲むってかなり憧れるなあ。酔った帰りに車で迎えに来させるってのもいい。

Posted by: | June 06, 2006 12:11 PM

将来、酒を酌み交わす歳になった時、今回のエピソードを語ってやると面白いかも。

いいなぁ、こういうの。

Posted by: LIB. | June 07, 2006 11:45 PM

 携帯に取った写真をしっかりと保存しときます。
 ちなみに、酔った父を車で迎えに行くってのは昔、私、何回もありました。親にとってみれば嬉しいのはワカルけど、結構めんどくさいものだったなぁ(笑)。まぁ、その帰りがけに一緒にラーメン食いに行ったりしたもので、それもまた楽しかったけど。

Posted by: 竜馬 | June 10, 2006 09:43 PM

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