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March 27, 2007

はじめて帰省しなかった時のこと

 恩田陸のネバーランドを読んで思い出すことがまだあった。

 それは、初めて正月を家族と共にすごさない、という思い出である。もっとも、IT業界ってのは正月に休みを取りにくい局面もあったりするので、今となっては(正月に家族で過ごさないというのは)あまり珍しくもなくなってしまったのだが。

 1994年のこと。私はまだ会社の寮に暮らしていた。
 その年末。仕事納めも過ぎると会社の寮も寂しくなる。皆、帰省したりしていた。
 私は晴海見本市会場のイベントを終え、友人宅で飲み会を行う事になっていた。その日はそのまま友人宅に泊まり、翌日に帰省する予定だった。九州までの切符は、まだ買っていなかった。
 友人宅へ行く途中、新宿に立ち寄っていた。友人Kは、12月のアタマに発売されたばかりのプレイステーション(39800円)を買うと言う。発売当初のプレステは入手が難しく、複数の量販店をウロついていた。そして、ある店に在庫を発見したのだった。
 友人Kはホクホク顔で購入。そのとき、頭上から物欲大魔王が私に声をかけた。

 大魔王「お前も買ったら?」
 竜馬 「欲しいけど、お金が無いよ」
 大魔王「お金は持ってるじゃないか。財布の中に4万円入ってるだろう」
 竜馬 「これは九州へ帰省する新幹線代だよ」
 友人K「買っちゃえよ。正月はウチで一緒に遊ぼうぜ」
 大魔王「それはいい考えだ。楽しいぞ」
 竜馬 「…そ、そうかな?」

 気がつくと私の手にもプレステがぶら下がっていた。友人K(男)はルームメイトM(男だ)と二人暮らしで、二人とも帰省しないとのこと。当時そこは皆にKM亭と呼ばれていた。近所に住む別の友人B(男)も遊びに来ると言う。男四人で年末を過ごそうぜ、ということになったのだった。数分後、「帰省しないから」と九州の実家に電話を入れた。

 その夜は日本酒を持ち込み飲んだくれた。肴はツナ缶に醤油をたらしたものや、焼き鳥缶などであった。あとはただひたすら、プレステでリッジレーサーのタイムを競い、徹夜で遊んでいたような気がする。

 翌日は押し迫った31日。夕方、近所の銭湯に行った。KM亭にもフロはあったのだが物置と化していたのだった(ちなみに私にとって銭湯は小学生の頃以来のことで、以後は一度も行っていない)。
 そのまま晩飯の買い出しに出かけたが、時既に遅く周囲の店は既に閉まっており、地理にも暗くついに買い出しを諦めざるを得なかった。在庫の野菜で鍋を作ろう、とBははりきって野菜をザクザク切り、鍋を作った。男四人に囲まれた鍋には野菜のみがグツグツ煮えており、とてもベジタブルな鍋であった。泣きたかった。

 鍋をつつきながら年が明けた。明け方、Bは初日の出を見ると一人出かけていった。残った三人は酒に酔いながらぐったりと寝ていた。Bが帰ってきた頃、三人は復活していた。猿のようにリッジレーサーを代わる代わるやっていたような気がする。

 その後どうしたのかあまり覚えていない。1日か、2日には寮に帰ってしまったような気がする。寮の友人も早めに寮にもどっており、これまたリッジレーサーのタイムアタックに共に燃えたんじゃなかったっけか。

 …それがはじめて親と過ごさない年末年始であった。

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Comments

懐かしい話だね。もう何年も前の。皆元気にしてるのかな。野菜鍋は健康そうです(笑)。

Posted by: いぶき | April 03, 2007 at 10:39 AM

私は野菜鍋はもうイヤだ(笑)。

Posted by: 竜馬 | April 03, 2007 at 01:12 PM

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